【こだわり語り】ORI COAT「ゆったり着られる、生地の耳まで使った綿コート」
「あいまいゆう -I MY YOU- 」デザイナーの栗田哲希です。
穴の布、重ね布と続いて、今度は「ORI COAT -折りコート-」です。
今までの2つの衣服に比べて、もっとも親しみやすい服に仕上がりました。包まれる感じがとても気持ちいい他、ポケットがとても便利なので私自身もよく着ています。
穴、重ね、折り、など…ネーミングにちょっとしたルールをつけて分類するのが好きなので、次回作る衣服もそういった何かが名前の頭につくかもしれません。お楽しみに。
⬛ORI COATってどんな服?
この衣服を一言で表すと、
「ゆったり着られる、生地の耳まで使った綿コート」
「ANANO NUNO -穴の布-」、「KASANE NUNO -重ね布-」に比べて、リーズナブルです。また、一般的なコートに近い形状ですので、親しみやすい商品となりました。
本体は、大きな長方形。両手を伸ばすとそのことがよくわかります。
⬛"折り"で作ったポケット、大きさも様々
まずは特徴的なポケットから紹介いたします。
コートの正面のポケットは、生地を折り紙のように"折る"ことで作られています。
そのため、オモテに出るのはポケット口に施された1本のステッチのみ。すっきりとした見た目となります。「隠しポッケ」とも言える仕上がりです。
⇧ポケットの作り方
このように生地を折って、作っています。
ポケットの数は合計9つ。右に5つ、左に4つです。また、ポケットは袖下と脇までつづいています。用途に合わせてたくさんのものを入れられます。
⇧スマホやカードケースなどがスポッと入るポケットも
ポケットはそれぞれ深さと幅が異なります。脇に行くほど深く作られています。幅は様々で、文庫本、ポケットティッシュ、スマホ、カードなどが入るポケットもあります。ちなみに、袖の下にあるポケットはもっとも深く、 もっとも広く、手がスッポリと入ります。
四角形ゆえに、いわるゆる袖の形が無いコートですが、手をおろした位置に大きいポケットが来るように設計しました。手持ち無沙汰な方にもおすすめの便利な機能です。
⇧袖下にあるポケットはとても大きく、ペットボトルも入ります
⬛パーツは3つ、ハサミは2回のみ
「ORI COAT -折りコート-」は、あいまいゆうのアイテムにしては珍しく、一般的な衣服に近い形状です。着脱の面でも、見た目の面でも、多くの方に着やすい設計となっております。
とはいえ、「あいまいなもの」という、当ブランドのコンセプトを引き継いだアイテムには仕上がりました。
このコートは、下記画像のように、3つのパーツから作られています。あとは、これらを"折って"、背面のふくらみや、正面のポケットを作っています。したがって、衣服を作る際、ハサミで裁断するのは2回だけです。
⇧「ORI COAT -折りコート-」を構成する3つのパーツ
⇧背中のふくらみと、正面のポケット
また、「生地の耳」と呼ばれる、生地の両端の硬い部分を使用しています。通常、耳は衣服に使用されず廃棄されますが、折りコートでは、環境への配慮と、フリンジのような見た目のかわいさ、布の端処理工程の削減といったメリットを優先し、耳を使用しています。
⇧袖先のフリンジのような部分が「生地の耳」です
以上のように、今回も生地を余すことなく使い、衣服を仕上げました。
廃棄しないことによる環境への配慮とともに、布量を活かすものづくりをこころがけました。
実際に着てみると、コートというより「大きな布」と感じます。たっぷりと布を使い、四角いシルエットのモノをまとう、その感覚は新鮮です。
「布なのか、服なのかわからない、不思議であいまいなもの」というブランドのコンセプトは、このコートにも込められています。
⬛とどまることを知らない「ゆったり感」
「ORI COAT -折りコート-」は、いわゆる"袖"のかたちが無い、丈130cm×幅140cm大きな四角形ですので、体型や性別に縛られること無く、多くの方に着用いただけます。
ゆったりした見た目通り、とっても楽に着脱できます。
四角形のコートなので、衣服の中がとっても広いんです。そのため、袖を通す際の動きが最小限ですみます。ちょっと腕を上げるだけで、手が通せます。
また、これは小技ですが、コートを着たまま、コートの内側に手を通してボトムスのポケットから物を取り出すなんて芸当もできます。
まるで大きな布を肩からかけているような感覚が新鮮です。さらに、布量が多いため、見た目より保温性があります。
一見よくあるコートですが、四角いシルエット、ポケットの作りや背面のふくらみなど…いくつものこだわりによって、他では味わえない「ゆったり感」を表現できました。
⇧「ゆったり」着られるのがわかる、背中のふくらみ
ちなみに、今回もカタチを変えられる機能をつけました。
ポケットの端には、脇まで続く「穴」があります。
その穴にベルトを通すことで、シルエットを絞ることができます。
⇧ベルトを通せる穴
私は衣服のカタチを変える機能をよく付けますが、それは変形による面白さを求めているだけではありません。変形できるカタチが多いほど、十人十色の着方ができます。
換言すると、「みんな同じ服を着ながら、みんな違うカタチになる」ということです。それは、年齢や体型や人種など、多くの異なる側面を持ちながらも我々は同じ人間であるということと似ています。
そして、衣服の変形機能が多彩であれば、我々の差異とそれに対する共通点を視覚的に認知できるのではないでしょうか?
それが他人を理解するきっかけとなれば何よりです。私が衣服に変形機能を付けるのはそのような側面もあります。余談でした。
⬛素材の話
今回はオーガニックコットンを使用しました。
生地としては、綿ギャバジンに分類される織物です。密度高く織られているので、丈夫であり、自然なシワ感が表れています。ナチュラルな印象とともに上品さも兼ね備えた、着回しやすい生地となっています。
⇧背中の大きなタック
⬛サイズは「M」と「L」の2種類
ORI COAT は2サイズ展開です。主に、丈やポケット位置、前襟の長さが異なります。
Mサイズ(画像左)は、身長160cm以下の方にちょうど良いサイズとなっております(写真のモデルは身長158cm 細身体型 です)。
Lサイズ(画像右)は、身長160cmよりも大きな方におすすめです(写真のモデルは身長168cm 普通体型 です)。
しかし、大きめに羽織りたい場合など、小柄な方でも十分着用いただけます。
⇧Mサイズ(左)と Lサイズ(右)
お写真だと深緑色を紹介していますが、L、Mサイズともに、全色で展開(深緑色 / 黒色 / からし色 / ベージュ)しています。
ORI COAT は、3mの生地を"使い切る"ことをサブコンセプトにしているので、Mサイズを作る際も、生地の耳ごと布幅いっぱいまで衣服に仕立て上げました。
その影響で、背中のタックや前身頃の表情がLサイズとは少し異っております(上記写真は襟~正面の表情の違いがわかります)。
しかしそれも"味"として楽しんでいただければと思います。
⬛知っているカタチにも意外性を
実は、このコートは、もともとプライベート用として作りました。しかし、想像よりも反響があったため、公表すべきと考えました。
当初は、穴の布、重ね布ほどコンセプトを継承できていないこともあり、商品化を躊躇していましたが、どのような衣服にもコンセプトを反映できることに気づき、商品化しました。
今後は誰もが着やすい見た目・機能をもった衣服もすこしずつ増やしていく予定です。
しかし、「ORI COAT -折りコート-」のようにシンプルな形であっても、折りで作ったポケット、袖の形がない四角形のシルエットといった、意外性を含めていきたいです。
あいまいゆうのコンセプトは「あいまいなもの」。その気持ちはどの商品にも込めていくつもりです。
それがいつか素敵なことに繋がると信じています。
あいまいゆうデザイナー 栗田哲希
