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【こだわり語り】KASANE NUNO「様々なシルエットを楽しめる、重なった布」

「あいまいゆう -I MY YOU- 」デザイナーの栗田哲希です。

前作「ANANO NUNO -穴の布-」のこだわり語りから日が経っていませんが、もうひとつ面白い衣服ができたので、ここにこだわりを綴っていきます。

衣服の名前は、「KASANE NUNO -重ね布-」です。

「ANANO NUNO -穴の布-」の理論を引き継いでつくられた服なので、こちらもいろいろな着方ができます。面白いです。遊べます。

■KASANE NUNO ってどんな服?

この衣服を一言で表すと、
「様々なシルエットを楽しめる、重なった布」

前作「ANANO NUNO -穴の布-」より、着やすく、リーズナブルで、親しみやすい衣服となっております。

本体は約1.2m×1.2mほどの大きさです。6つのパーツを重ねて作った衣服なので「重ね布」という名称をつけました。

重ねた布の隙間にできる「穴」に、腕や頭などを通して衣服になります。通す穴によってシルエットが変わります。

今回も遊び心のある衣服ができました。

■布を"重ねる"ことで、親しみやすい自由を

ただ布を重ねただけではなく、布と布を「点」で繋げることで、その「点」以外は、全て身体を通せる穴になります。

この点は「ANANO NUNO -穴の布-」と同様です。

分かりづらいと思うので下記をご覧ください。

このように、生地同士は少ない面積で繋がっています。つながった箇所の両端に「穴」できているのが見えます。この「穴」に腕や頭を通すことができます。

前作の穴だらけの衣服「ANANO NUNO -穴の布-」でも穴に頭などを通す機能はありました。しかし、穴が開き過ぎることによる露出や、それによる奇抜な見た目を気にする方が少なからずいらっしゃいます。

「KASANE NUNO -重ね布-」は、新しいアプローチでそれらを解決しました。①層状に重ねる ②点で繋げる という方法で、好きなところに腕や頭を通す特徴を残しながら、着やすさを向上させています。

とはいえ、「ANANO NUNO -穴の布-」と比較して、生地の面積が小さく、穴の数も少ないので、自由度は下がります。

それでも、工夫次第で遊べる面白い衣服には仕上がりました。

■様々な着こなし

ドレープの効いたブラウス、マント、Vネックのドレススタイル、ケープなど…工夫次第でさまざまな着こなしができます。

衣服に空いた隙間(穴)は、一本の直線です。

ネックラインとして横向きに用いればボートネックに、縦向きに使えばVネックとなります。それとともに、ドレープも変わります。自分に丁度良い布の表情を見つけることも、この衣服の楽しさのひとつです。

また、ベルトが付属しているので、シルエットを更に自由にかたち作れます。例えば下記の着こなしは、ベルトを首から鎖骨、脇を通り背中にホルターネックのように留めることで、美しいラインを作りました。

ベルトがあるだけでいろいろな表現が楽しめます。

重なった布の隙間に通せば、民族服のような様相にもできます。

首に巻き付けて整えれば、首元の装飾にもなります。

「穴」とベルトがあれば可能性は無限大といったところでしょうか。

少なくとも、わたしはそのように感じております。

本体の端の「穴」に頭を通せば、マントのように着こなすことができます。腕を通せばノースリーブにもなります。

■生地と、環境への配慮について

「KASANE NUNO -重ね布-」では、株式会社サンウェルが提供するLANATEC®と、帝人フロンティア株式会社が提供するSOLOTEX®を織り合わせた生地を使用しています。

LANATEC®は、ポリエステル繊維を使用しながらウールのような質感を持ち合わせています。シワも付きづらく、簡単に洗うこともできます。さらに、ストレッチ性があるので動きを阻害することはありません。
(LANATEC®について:https://sites.google.com/sunwell-group.com/sw-lanatec/lanatec

SOLOTEX®は、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロンの3つの特性をいわば「良いとこ取り」した複合繊維からできているため、形態回復性・クッション性・ストレッチといった特徴があります。さらに、植物由来の原料を一部使用しているため、環境にも優しい素材です。
(SOLOTEX®について:https://www.solotex.net/

↑↑ 中央に見える 縦の線が「かんぬき止め」です

「KASANE NUNO -重ね布-」は、布同士を"かんぬき止め"という堅固な縫製で結合しています。

通常、衣服は布の端同士を縫い合わせることが多く、それにより強度が保たれますが、「KASANE NUNO -重ね布-」のように"点"とも言える短い距離で縫製した場合、生地の一点に負荷がかかるため、伸びてしまいます。

しかし、柔軟性と形態回復性に富んだLANATEC®とSOLOTEX®をもちいた生地を使用することで、かんぬき止めにかかる負荷を最小限に抑えています。

また、今回も生産過程で廃棄される生地に配慮しました。

上記のように、必要なパーツは要尺の中に全て収まっています。生地の廃棄はほぼゼロです。使用する素材や生地の廃棄を抑える工夫によって、環境へ配慮しています。

■KASANE NUNO で自分らしい着こなしを

無駄な廃棄をしない理由は、環境への配慮だけではありません。

感覚的な話ですが、ある人間の身体に沿った袖や見頃を作ることで、それ以上、それ以外の身体を持つ人々を除外してしまっているような気持ちになります。

多くの人を包むはずだった生地を切り捨ててしまうことで、その人々を見捨ててしまったような気持ちになるのです。わたしだけでしょうか?

このように、布量が多くさまざまなカタチに変形する「あいまいな衣服」は、体型、性別、年齢などにとらわれず、自由です。

それは前作「ANANO NUNO -穴の布-」でも同様です。

まさに十人十色の着方ができます。もしも「同じ服なのに、みんなかたちが違う」と感じることができれば、素敵なことだと思います。

あいまいゆうデザイナー 栗田哲希